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【桜空vs翼腕の鴉 決着】
翼腕の鴉
「ぐ……あ……金……鵄………様……」
既に意識を失い、床に倒れて気絶しているものの、それでも尚、金鵄の事を呼ぶようにして、彼女の名前を呟く……
例え氷華の理想が歪んだものであったとしても、それを信じ、悲しみも苦しみもない世界を渇望し、そのために命を賭けて戦う意思のある賛同者もいる……
桜空の両足には翼腕の鴉の鉤爪によって骨にまで届くほどの重傷を負わされていることもあり、この状態で霞鴉に挑むのは無謀だとも言えるだろう。
【紀vs霞鴉】
霞鴉
「な………ッ!!?」
《ドガッ》
カランビットナイフを構え、紀の脚に向けてナイフの刃先を向けつつ、紀の視線や手足の動きを読み、その動きを予測している。
例え避けられたとしても、自分が再び霧化するまでの時間が稼げる。
回避しようと攻撃の手を止めようと、自分の計算通りであり、自分の優位性は崩れない……そう確信していた。
だが、その霞鴉の予想を裏切るように、ナイフが脚に突き刺さる事も厭わずに蹴りの威力を落とすことなく放った事で、始めて霞鴉にダメージを与えることに成功する。
霞鴉
「……ぐ………ぅ…………
賢いとは言えないね……そんな深傷を負った状態では……まともに動くことすら出来ないだろう?」
《ザアァァァァァァァ》
霞鴉はいきなり予想に反した事をした事に驚きつつも、直ぐに自分の体を霧化させて紀から30m離れた場所へ逃れると同時に紀の脚から即座にナイフを抜く。
今の一撃で紀の片足が使い物にならなくなった筈であり、この状態であれば充分に距離を取った自分の前に移動する事は出来ない、このまま距離を取ったまま攻撃し続ければそれで自分は勝てる。
そう考えた霞鴉は30m先で自分の周囲の霧を多数の槍へと具現化させ、それを紀に向けて撃ち出すことで遠距離からの攻撃で仕留めようとする。
桜空「・・・・・」
スゥッ・・・・・
(このまま放っておいても大丈夫だろうとは思ったものの、ここまでやられても尚氷華への揺るぎなき忠誠心を見せつけられた桜空は、何を思ったのか翼腕の鴉を治療マシンの中へと転送する・・・・・)
紀「・・・・・あまいですね、中川・・・・・」
(こんな状況で、まだ仲間を助けようだなんて考えている中川に対してあまいというが、その直後に「とりあえず、礼は言っておきます、ありがとう・・・・・」と言い、ふらつきながらも立ち上がる・・・・・)
>>822、823