>>888
氷華
「これまで私は数多くの救い用の無い悪を裁いてきた……」
《シャッ》
掠り傷程度であれば周囲の冷気の影響で即座に出血が止まり、傷の悪化も多少凍傷に近いものになる程度で済むため、ある意味ではこれまでの敵よりも戦いやすいとも言えるかもしれない。
だが、氷華は直ぐ様桜空の傍にまで迫り、手にした氷剣ではなく、敢えて不意を突くように黒い手袋をした左手で桜空に掴みかかろうとしてみる。
氷華と対峙しているだけでも季節なんかはお構いなしに吐く息も凍るような極寒の地に変えている程であるのだが、そんなものを自在に操る氷華の体に直接振れてしまえば瞬時に全身の水分が凍り付いてしまうだろう。
桜空《早いっ・・・・・!》
スッ・・・・・!
(桜空はギリギリで掴みかかられそうだったところを避けることに成功する・・・・・
「言っておくが、死線をくぐり抜けてきたのは腐っても正義を名乗ってるお前だけじゃない、救いようのない悪というなら、自分勝手なクソみたいな考えで無関係の人間まで巻き込もうとするお前だって救いようのない悪だと俺は思うがな、正義の八咫烏さんよぉ・・・・・」)
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