>>95
「…!ご期待に添えるよう、精一杯尽力いたします。」
(氷華からの言葉にぱっと目を見開き、悟られぬよう出来るだけ冷静に返す。
自分と殆ど歳が変わらないのに最短で金鵄まで上り詰めた氷華を尊敬していたからこそ期待の言葉を何度も思い出しては顔が緩む不知火。緩んだ顔が見られないように背を向けて袖で口元を隠す。)
>>96-97
氷華
「……!
ええ、ありがとう。」
期待に添えるように尽力すると言ってくれた不知火の言葉を聞いて、微かに口角が上がるものの、落としたと言って緋染が差し出したペンダントを見て、一瞬だけ驚く。本来ならば親切心から来ているものとして礼を言うべきなのだが、普段の言動からあまり彼に対する信頼はなく、言葉を返すのが少しばかり遅れる。
直ぐに冷静さを取り戻して彼からペンダントを受け取ると、掌の上でペンダントを眺めながら刹那の瞬間だけ下記について思考すると今度は落とさないようにコートの内ポケットに仕舞う。
この中身については他者に見られたくないと言う考えから、常に肌身離さずに持っていたペンダントを偶然にも落とすとは考えにくいし、仮に何処かのタイミングで掠め取られようとしても、持ち前の警戒心の高さからそれがされる前に阻止することが出来る。
となれば、先程の近接戦闘の際に落ちたと考えられる。もっとも、これまではどれだけ激しい戦闘であっても一度もペンダントを落とした事から、かなり稀有な状態であり、少し不信感を抱いてしまう。
ペンダントには氷華の氷がこれだけは常時氷形成状態(ペンダントそのものは小さく、普段から持ち歩いているため異能の維持コストも低い事)にあり、それこそが留め具代わりとなっているのだが、無理矢理抉じ開けられた様子もペンダントや氷が破損した形跡も無いことから中の写真は誰にも見られていないだろう。