>>93
氷華
「合図があった際には今回は貴方が先に攻撃を仕掛けてもいい。
十二鴉としての貴方の活躍には期待している。」
雛宮が影の中へ消え、取引現場に向かったのを静かに見送ると、後に残った不知火に対して言葉をかける。
異能の性質的に片方が異能を発動させて気温を変化させてしまうと後に発動させた者の異能の精度や威力も大きく左右されてしまうのだが、それを知っても尚、不知火が先に異能を発動させても構わないと言う。
変わらず取引現場である廃工場を見ながらも、自分と歳が近く、更には若くして十二鴉の一人に数えられる程の実力者であると言うことから、表情や態度には出ないものの氷華は彼女に対して少し親近感を覚えているが故の発言となっている。
「…!ご期待に添えるよう、精一杯尽力いたします。」
(氷華からの言葉にぱっと目を見開き、悟られぬよう出来るだけ冷静に返す。
自分と殆ど歳が変わらないのに最短で金鵄まで上り詰めた氷華を尊敬していたからこそ期待の言葉を何度も思い出しては顔が緩む不知火。緩んだ顔が見られないように背を向けて袖で口元を隠す。)