桜空「っ・・・・・!!!!!」
ヒュッ・・・・・!
(ある程度予想していたものの、やはり仕掛けてくる際のスピードは予想込みでも避けるのがギリギリになってしまう・・・・・
しかし、今の氷華の攻撃を避けるのは、今の桜空でも十分に可能だった・・・・・
桜空は、氷柱を避けると、そのまま氷華に掴みかかり、そしてそのまま勢いに任せて押し倒す・・・・・)
桜空「ふざっけんなよっ!!!!!」
(桜空喉号が凍てつく世界に響き渡る・・・・・)
桜空「仮にも正義を志す人間がこんなことをして何も感じねぇわけねぇだろ!!!!!てめぇの心は死んじゃいねぇ!!!!!てめぇは本心に気づけないんじゃなく本心に蓋して都合よく自分を偽ってるだけだ!!!!!もう他人も、自分自身も傷つけるな!!!!!
・・・・・頼むよ・・・・・姉ちゃん・・・・・」
ポロッ・・・・・ポロッ・・・・・
(桜空の目からは、涙が零れ始める・・・・・
互いに正体を知って傷ついたのは、氷華だけではない・・・・
いくら薫先生という恩人に恵まれ用と、恩人を失うも悪人に命を救われようと、どんな時でも心のどこかには氷華の存在があった・・・・・
だが、やっと会えた時には、すべて変わっていた・・・・・
今までの様々な感情が、入り乱れ、そして涙となって零れ落ちてゆく・・・・・
もう、限界だった・・・・・)
>>988、989
氷華
「!?……桜空……。」
氷柱による刺突が避けられ、直ぐに逃れようと後方へ下がろうとするものの、足元に桜空の落としたペンダントが見え、このまま動けばそのペンダントをも踏みつけてしまうと考え、回避のための足が止まる……
そこで防御に回る時間が無くなり、桜空に押し倒される。
押し倒す際に彼が持っている刀を心臓に突き出していればその時点で自分が殺害されていたのだが、それをせず、変わり果て、決別を宣言した自分の事をまだ姉と呼んでくれている事に対して氷華は静かに驚いている。
氷華
「……私はここに来るまでに多くのものを捨てて来た……
自分も、仲間も、親友も……実の弟でさえも……」
ゴールも、自分の居る場所でさえも見えない無限に広がる荒野を歩き続けるのはいったいどれだけの絶望に満ちているのだろうか。
正義を言い訳に、過去の約束を言い訳に、自分自身からも目を背け、理想の正義を成すために数多くの罪を背負った……
自分はもう姉と呼ばれる資格も無く、涙の一つも流れない自分の冷たさに呆れさえ感じてしまうが、そんな全てを切り捨てて来た自分も……唯一、桜空や亡き両親と共に過ごした幸せな記憶を大切に守り続けて来た……