>>987
氷華
「……………!!」
《バッ》
背後から自分の名を呼ぶ咆哮が聞こえ、更に体の芯までは凍り付いていなかったのか、氷華は反射的に振り向き際に右手を翳し、その掌から一本の氷柱を伸ばして桜空の体を貫こうとする。
精神的な動揺からか、その氷の生成速度も硬度も低下しているため、死力を尽くせば回避や破壊も可能なレベルとなっている。
桜空「っ・・・・・!!!!!」
ヒュッ・・・・・!
(ある程度予想していたものの、やはり仕掛けてくる際のスピードは予想込みでも避けるのがギリギリになってしまう・・・・・
しかし、今の氷華の攻撃を避けるのは、今の桜空でも十分に可能だった・・・・・
桜空は、氷柱を避けると、そのまま氷華に掴みかかり、そしてそのまま勢いに任せて押し倒す・・・・・)
桜空「ふざっけんなよっ!!!!!」
(桜空喉号が凍てつく世界に響き渡る・・・・・)
桜空「仮にも正義を志す人間がこんなことをして何も感じねぇわけねぇだろ!!!!!てめぇの心は死んじゃいねぇ!!!!!てめぇは本心に気づけないんじゃなく本心に蓋して都合よく自分を偽ってるだけだ!!!!!もう他人も、自分自身も傷つけるな!!!!!
・・・・・頼むよ・・・・・姉ちゃん・・・・・」
ポロッ・・・・・ポロッ・・・・・
(桜空の目からは、涙が零れ始める・・・・・
互いに正体を知って傷ついたのは、氷華だけではない・・・・
いくら薫先生という恩人に恵まれ用と、恩人を失うも悪人に命を救われようと、どんな時でも心のどこかには氷華の存在があった・・・・・
だが、やっと会えた時には、すべて変わっていた・・・・・
今までの様々な感情が、入り乱れ、そして涙となって零れ落ちてゆく・・・・・
もう、限界だった・・・・・)
>>988、989