>>20 ハナヤマ様
「あら、あらあら……」
(声をかけたは言いものの、眉を顰める彼から「かつての自分」を知る言葉が出てくるとは思いもよらず、数年前に己の黒歴史だと戒めた筈の記憶を脳裏に浮かべては怯んだように言葉が詰まり。)
「……あ、あなた、あたくしをご存知なのね。うふふ、そう、それが当然よ、プリン様を知らないのは愚か者だけだと思っていたの」
(引きつった口元を紅蓮の扇子で覆い、しどろもどろに焦りを隠す。「暇潰し」と称したお姫様ごっこも昔に比べればままならない。まさに傍若無人と言える振る舞いで、数十人の男を扇下に従えては幻の焔孔雀を狩りまくったせいか、数年越しにログインした今でも大量の素材が余っていることに「かつての自分」への畏怖を称え、戦の証と称していたほどだ。誇るに誇れぬ証の結晶である、ド派手なドレスやリボンを風に靡かせてプリンセス・アラモードは眼前の青年に尋ねる。)
「あなたはいつからこの世界に? 随分と長いこといるようだけれど」
>>22 プリン様
「······あそこまで大立ち回りしておいて······10年前にこのサーバーに居たプレイヤーはほとんど覚えてると思うぞ······? 」
(先程まで彼女が無視されまくってた事など露も知らないハナヤマであった。
······だが、流石に一時引退していた事はわかっているらしい。相手のド派手な外見がほぼ10年前と変わらないことに気付いたからだ。)
「······いつから?······そうだな、ベータテスト時代から」
(遠い目をしながら、しれっと言う。ベータテスト······つまりRWOの黎明期も黎明期の時代からいる、もはや化石クラスの人物である。その上発売日からずっと皆勤賞なため──彼を超えるプレイ歴の者はそれこそ運営しかいない。)