氷華
「……さようなら。」
《ドスッ》
氷華はそのまま氷剣を突き、ルインの首を貫き、絶命させるが、ルインのその顔は死して尚、不敵な笑みを浮かべており、転がる頭部は氷華が展開していた氷柱の間を通り、最後には頭も胴体も全てが氷華の力によって凍結され、ドライアイスの中に入れた薔薇を握り潰すように粉々に砕け散っては消滅する…
生まれついて悪徳と殺戮を求め続け、様々な勢力に干渉して混沌を生み出し続けて来た彼の最期は意外なまでにあっさりとしたものとなっていた…
氷華
「……これで……私の役割は終わり……
後は……残された者達に託して私は退場……ね……」
《ドサッ》
ルイン(司)との戦いによって氷華の腹部にも大穴が開けられており、ルインの消滅を見届けると、全身の緊張が解けた事でその致死による影響が蘇り、凍りついた地面に倒れ伏す…
死に逝く氷華の脳裏には亡き両親と幼い頃の無垢な弟との幸せな思い出が走馬灯として蘇り、その幸せな思い出を抱いたまま、微かに微笑みつつ死を迎える…
正義を求め、自分達と同じような悲惨な運命を辿るものが現れないように奔走した彼女は、最後まで自らの役割を全うし、戻らぬ幸せな思い出を抱いたまま終わりを迎える…
これから世界がどうなるのかはわからない…
だが、悪が無くなることは決して無いだろう…
しかし悪がいると言う事は、この姉弟のように、それに対抗しようとする者達が無くなる事もないと言うことだ
世界は絶えず光と影、善と悪、秩序と混沌の相反する両者が存在し続ける
悪のみを自らの存在理由とする鴉
悪を滅するために非道な正義を翳す鴉
悪を制するために茨の道を往く鴉
三羽の鴉はこれで終焉を迎えるが、これからの物語(未来)を作るのは今を生きる者達の手に委ねられた…
『The Three Ravens』
-完結-
>>227 完結か…