桜空「・・・・・」
(瀕死の状態で気を失っている桜空と、同じく瀕死の氷華・・・・・
二人の表情は、実によく似ている・・・・・
桜空は悪人という立場なのに、昔から超が付くほどのお人好しだった・・・・・
そして今回は、そのお人好しな性格が故に、とうとう敵対する組織のボスを治療してくれという無理難題まで押し付けてきた・・・・・
どう考えても、裏社会で生きる人間としては圧倒的に何もかもが未熟だった、冷酷になりきることもなく、善人になりきることもできない、しかし、だからこそ狼谷も何かを変えられると桜空に委ねたのかもしれない・・・・・)
>>62
朱音
「……ったく、私も甘いね……」
姉弟と言うこともあり、何処か雰囲気や表情が似ているのを見て、優しく微笑む。
ファーストの中には八咫烏や氷華によって仲間や親友を殺害された者や、八咫烏への復讐心を持った者も少なくは無く、本来ならファーストの不殺の信条も無視して問答無用で処刑する必要のある氷華を助けてくれとまで言う。
この事が知られれば桜空だけでなく、自分も仲間や部下達から罵詈雑言を浴びせられたり、避難される事だろう……かく言う自分も少し前に桜空のそのやり方に反対していたのだが、それでも朱音は桜空の願いを聞き届ける事を決めた。
もう氷華は異能を使えるだけの余力も無いほど衰弱しているのか、直接氷華に触れても凍り付くような事は無くなっており、二人を担いで治療実の前に到着する。
そして一週間後……