>>20
「……あっれぇ〜?おっかしいぞ〜?なんかこっち来てなぁ〜い!?」
A級のためばれるかもなぁ〜と思っていたがまさかピンポイントで追ってくるとは思っておらず、しかも毒が効いている素振りは視覚を共有して見る限りないため内心少し焦る。
しかし、その焦りも生命が危機にさらされる恐怖からではなく、単に自分の階級が騎士階級よりも上だとばれてしつこく追い回されるであろう未来を憂いての焦りだった。
(相手はA級…しかも傀儡からの情報からしてなんか弄ってるっぽいんだよなぁ………めんどくせぇ…誰かに押しつけるか……それとも、わざと人通りの多い道に出て肉壁にする。……戸惑うような性格だといいなぁ)
そんなことを考えつつ確実に自分を追ってきている気配から距離をとるためにスピードを上げ、精製した血液で作ったペストマスクとハンドガンを作る。
(いくらなんでもA級だからって、Desert Eagle .50 AEはやりすぎだったかな……女の子だしなぁ…)
頭の中でそんなことをつらつら考えながら確実にハンドガンの安全装置を外す
只管血の匂いと、微かに感じた気配を頼りに走っていく。背負った両手斧は、いつでも敵を向かい撃てるように片手に携えて。
この感じ…爵位あり。しかも結構上じゃない?匂いの拡散、気配も音も、う〜っすらで本当に合ってるか不安になっちゃう。これは他の子にも連絡した方がいーなー。
走りながら、端末で周辺にいるであろう吸血鬼狩りに情報を流していく。果たして自分が追いかけているのは吸血鬼なのか、囮なのかわからなくなってくる。でもきっと、吸血鬼に違いないと自身に言い聞かせ走り続けた。もし、このまま夜の街に出てしまったら。騎士レベルの吸血鬼が出たという噂で普段より少ないとはいえ、出歩いている人は確実にいる。
「とっとと捕まえなくっちゃね」
鬼ごっこは大好きなの。純粋に遊びを楽しむ子供のように、瞳を爛々と輝かせ口元に笑みを浮かべると、その義足を利用し一気にペースを上げて。多少体に痛みは走るが、気にならないくらい今の状況を楽しんでおり。