>>52
血液の壁が浄化されるその光景を冷静に眺めながら、低姿勢をとると、斜め下から抉るように両手斧を突き上げた。…が、そこに感触はなく。空振りによりくる、と1度回転すると、大きな音を立てて両手斧は地面にクレーターを作る。自分に向けて放たれたと思った銃弾はマンホールを上の打ち、逃げる相手を捉えようと目線をあげればそこには、美しくも恐ろしい大きな翼が見えた。
「ああ〜っ、ずるい!綺麗だけど逃げるなんて!」
反射的に両手斧を地面から引き抜くとマンホールの出口、相手に向かって投げる。運が良かったのか、相手が義足目掛けて打った銃弾はその両手斧が防ぐこととなり。勢いを失い、こちらへ落ちてくる斧には驚いたが、難なく受け止めると跳躍する。
「めるはおにーさんともっと遊びたいの!」
(確かこの位置のマンホールは人通りが特に少なかったような気がするけど…おにーさん強そうだし、他のみんな大丈夫かなぁ)
下水道で全てが済めばよかったが、外に出られてしまうと思うように動けないため少々思案する。下水道から夜の街へ出、民家の壁や屋根を頼りに彼の吸血鬼を追おうとするが…他の吸血鬼の気配も察知して。相手が自分のことを他の吸血鬼に任せていたなんて知らずに。