コツ…コツ…
静かな廊下に足音が響く。足音の主は華奢な体つきには不釣り合いなほど沢山の本が詰まった段ボールを抱えている凛虎がいた。
(…先に図書館の結界を張り直して、それからこの本を十進分類法に分けてなおして…それから……)
「はぁ…」
やらなければならないことがやまずみでつい、ため息を洩らす。
「……ぅん…?」
微かながら、何か匂いがした。不思議に思って鼻先に意識を集中させると、日常生活ではなかなか嗅ぐことの無い。
しかし、自分にとってはとても馴染み深い………腐敗臭。
「はあぁ゛……」
先ほどよりもずっと深いため息を洩らす。少し面倒な霊がいるらしいが、せいぜい人を迷わす程度だろう。これくらいほおっておいていいだろうと判断してさっさと歩きだす。
しかし……だれかがさ迷い歩く音と、聞き覚えのある声を聞く。すぐに足を止め、少し考えたあとに本日3度目のため息をついてから踵を返して歩き始めた。
「………何してるの」
やがて追い付いた同じ図書委員で、同級生の苺谷の背後から声をかける。
【初絡み失礼します!一応、凛虎は1年生のつもりで動かしています!】
「 ひッ 」
声をかけられたことで 、黒い靄は散りほんの僅かに思考がクリアになる 。と同時に 、彼女は面白いくらいに肩が跳ねてしまっていた 。どうやら心底驚いたらしい 。
「 ... 凛虎 、くん 、 」
ゆっくりと振り返り彼を映した瞳には 、不安に加え緊張と僅かな安堵が漂っている 。同級生であり同じ委員会の彼の登場にはホッとしたが 、その両腕に抱えられた不釣り合いとも思える本の入った段ボールに もしや図書委員の仕事では と何もできていない自分に対して焦りが出始めたのだ 。 2 、3度 、口を小さく開けては閉じてを繰り返して彼女は声を発する 。
「 生徒会室がどこか分からなくて ... 、あの 、その段ボール持つから 、... 教えて 、ほしくて 」
同級生であっても緊張するのか 、たどたどしくお願いをしたあとには深々と頭を下げていた 。
( / 絡みありがとうございます ! 1年生同士仲良くなれたら嬉しいです ... ! )
>>124 凛虎くん