そこの者たち、すぐに総督を引き渡し、我らコサック連邦に降伏しなさい。
魔王は再びため息をつく。 「私は国の王でも何でもない……」 魔王はじわじわと怒りを感じ始めていた。いつもの余裕に満ち溢れた顔は僅かに歪み、狂気が小さく渦巻いていた。 「困りますな、勝手に敷居を跨がれては……」 総督を後ろへ隠し、魔王は力を解き放つ準備をする。 「自ら出ていくか、私に追い出されるか、決めるがよい」 月はただただ、その様子を見守っている。