>>755
……
(門を潜ると、大量の紅い薔薇が咲き乱れるエントランスが彼を迎え入れる
噎せ返りそうなほどの薔薇の香りの中、無言で歩く。
しばらく、歩き玄関の前に居た老執事に抱えた彼女を渡すと『彼女は恩人だ。無礼な事はするな』と話し屋敷の中に入る
いつもの様子と違う主に、老執事は放心していたが主命を思い出して抱えさせられた『恩人』を屋敷の一室へと運んだ)
…………………
「……(あ あ あれぇ…?……なぁにィかナァ?これェ…)」
困惑が、すごい
吸血鬼の本を読んだ事は、ある…
けれど所詮は昔のお話、そのままを信じてる事は全くなかった、でも…
薔薇の雰囲気を纏う妖しい館と使用人と威厳と丁寧な主人と…
…あれ?お話そのまんまの吸血鬼じゃんこれ。
ちょっと話は変わるが、私、月舟はそう軽々しく他者に抱っこされるのは
抵抗がある、だって恥ずかしいィじゃん
…無論、血が足りない自分は満足に動けるほど体力が戻ってはくれない、
フラつく思考が戻っていないフリをして、恥ずかしさを紛らわす以外にないナァ…
・・・血でも、吸われないか心配になってきた