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従者となった、懸命に尽くそうとしてもこの人には偽りの感情しか浮かばなかった
命を投げうって肉体を捨てた、そして少しだけの癒しを私はこの人に捧げることが出来た
……あと、何をいくつ捨てればあの人への救いをもたらすことが出来る?
…何を奪って捧げればあの人を幸せに出来る?
否、それは否だ…救おうと努力をして与えられた幸せを…あの人は受け入れることを…
…
苦悩、それを考える中で壱さんの顔を思い出した
…あの人は…多分私に似ているんだろう
だから…私は…私と…
壱さん、あなたと一度だけ、面と向かって話したかった
嫌悪を纏うその意思に、尊敬していたかった
あなたこそが、守れる人だと言ってあげたかった…
壱『あぁ、それは無理ですよ、私たちは、相容れない、私ってとても性格が悪いですから』
(あのふたりに聞こえないように、そういいはなつ、目線はむけない、ただ、そうつげる)
壱『あなたはね、いい人だったんですよ、だから嫌だったんです、だって、いい人であればあるほど、宙様が別れを悲しむじゃないですか』
(必ず別れるであろうことを知っているのに、仲を深めるだなんて、そんな酷なこと、あんな小さな子に、させたくないでしょう、と、無表情のままそう告げる、きっと、これが素なのだ、貼り付けた笑みなどではない)