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何故だか、完璧に補修されている屋敷…
より、堅牢を重ねた見た目の門前で、黒金棒を抱えて項垂れる
《いよいよ、殴らなくてはならなくなってしまった》
…まず、あの人は忘れているだろう
あやつと呼ぶ奴が、興味を持つはずもない
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そうなるとあやつの言う通り、私などの力ではただの1発も難易度は高い
下手を打てば雷画戟を犠牲にしてでも何も出来ない色すら濃い…
半端な覚悟ではない、私だってやってみせる
…それでもあやつに通じるものなのか
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…壱さんなら 出来ただろうなぁ
情けないったらありゃしない
(そんなヴァイルの背中に、ポフンと抱きつく影がひとつ)
【…………………】
(【彼女】はなにも感じてはいない、だが、『彼女』は違っていた)
【……………】
(【そら】でない『宙』は、ヴァイルのしようとしている行動を止めようとしていた)
(それを知らない、認識できない【そら】は、無意識ながら、『宙』に引きずられるように、ヴァイルを抱きしめた)
(まるで、それは幼子のように)