「あー、いったぁ......全く、私なんて大したこと出来ない人間なのに、どうしてこんな目に....」
(先程まで森を探索していたが、虎と遭遇した際に脚を思いっ切り噛まれてしまい、何とか逃げられたが血が溢れ出している)
「救急箱も無くしちゃったし、何処かに親切な人でも居ればいいのに....」
(とりあえず応急処置として、軽く荷物の中からアルコールの霧吹きを取り出し消毒をして、上からハンカチで押さえておく。)
極寒の地には……女の影が一つ。その逞しき身をコートに隠し、息を白く吐く。
「……あんた、大丈夫かい?」
「……足、怪我してるのね。
立てる?」
そこには、一糸纏わず、ブラウンの髪の毛をうねらせている女が立っていた。
女王とは違う、また違う闇の輝きを纏っている。