『……でも、わた、し、ひと、じゃな、い、から、その、おとお、かあさん、の、……まも、るべきも、のじゃ……』
(ない、と言いたくなくて口を噤む。しかし思い出す。自分は迫害されるべき人間なのだと。……忌み子なのだと。)
「………………な、ちとおろして?」
(自らをそのせなかにのせている巨大な狐に声をかける、その狐は、何か言いたげな瞳を一瞬向けたが、ゆっくりとその場にしゃがみ、何も言わない)
「ん、ええこ」
(そう告、使いの頭を撫でると、ふらつきながらも緋月の方をむく)