きみのための物語

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20:◆.s:2020/12/29(火) 02:04

>>19

見返した薄っぺらな資料を机に放り
ずっと世話になってる椅子へ今度は背を預ける

……傾く視線、見えるのは小さな金庫の錆びた扉__


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僕が物心付いた時から 親父は良い親父とは思えなかった

誰の生き方にも踏み込んで口出ししては煙たがれ

仕事帰りにはひとりで酒もよく飲んでいた

それに 夜な夜な死んだ母さんを泣きながら呼ぶのだから

僕は眠れない夜を何度も過ごした事もあった。

けど 良い親ではなくても酷い親でもなかった

飯は食わせてくれる 学費も払ってくれる 家事だって…

でも 僕の事に良いことも悪いことも口出しをしなかった

朝の挨拶だって欠けてもお互いに何も言えないほどだ

そんなだから 僕は親父を誰とも思えなかった

同じ家に住んでいても 血の繋がりを感じたことさえも…


◆.s:2020/12/29(火) 02:12 [返信]


僕が高校に通って暫く経ったある日 親父は重い病気に掛かった。

医者は 末期のガンだと言う 親父は病院に通わなかった

親父は自分で立ち上がれなくなり 僕はバイトをする事にした

___________

高校を中退してから数ヶ月 もう 録に親父は起きていない

何故か 僕は恨んでいるかもしれない親父を憎めなかった

血の繋がっていて 悪いこともされていない

それだけで 親父を憎めるもんかと 僕は1人決め付ける

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高校を卒業したみんなが 思い思いの道を進むなか…

親父は 死んだ。 ……朝の よく晴れた日の事だった


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