「……………人間」
「茨木童子様」「お静まりくださいませ」「お静まりくださいませ」
「…人間の匂いだ、なァ、人間の匂いだ」
(巨体、酒呑を少し超えた大きさの、山吹色が目立つ鬼)
「なァ!閻魔ァ!」
『……………おきてもうたんか、茨木』
(――――)
「碧月」「なに」「間違っても見に行こうなんて思うなよ?」
「いや無理だよ!こわい!」
(葬月が案外真面目な調子で碧月に言う。
能力から完全に封じ込めるのは不可能だからだ。……が、すごい速度の返答から心配はないだろう。
……彼がなんとなく天井を見た時、木材に古傷が刻まれているのを発見してしまった。
……これは、厄介なことになりそうな気がする)