>>27
「――!? 何? 爆発?」
響く爆音、灯莉は驚いた表情を見せすぐに辺りを確認する、霞は爆発で四散していた、そして少し離れた所に吹き飛ばされたであろう華が立ち上がる姿、どうやら負傷しているようだ。
霞は四方八方に飛び散ったが彼女の持つ奇跡の異能が働いたのだろう、華の周囲に霞はない。
「――包囲を破られたことは悔しいですが、彼女に手傷を与えられただけでも僥幸と捉えるべきでしょう」
今から霞を操ったのでは間に合わない、そう判断したのだろう、言って灯莉は華の方へゆっくりと歩きだし。
「どうやら貴女は切り札を使いきってしまったようだ」
氷のように冷たい視線を向けて一言、灯莉は手のひらに霞を集中させ凍結、バスケットボールほどの氷の塊を作り出し。
(奥から冷たい声。
そちらを向けば、丁度灯莉が出てきたところだった。)
「……出てきてくれるのは嬉しいけど、ね」
(仕事の帰りなためラケットは持ってきていなかった。
まだ粉は一袋あるが……
……それに、おそらく今から相手がしようとしている行動、もし華の想像が当たれば――まぁ死ぬだろう)
「……切り札はないけど」
(チョークを気休めに取り出して相手の動向を窺う
どの道届く距離ではない
……そして、独り言のように)
「手段は……多分無くはない」