>>84
ふざけてねぇよ、狂信者。
( ローブをパッと離す。冷めた。
多分、コイツに何を言っても通じないのがオチだ。悪ガキが悪いことした場合、罰を与えればいうことを聞く。けれど、コイツらは悪ガキより聞き分けが悪い。死後世界をマジで信じてしまっているのだから。 )
ところで思ったんだけど、きみたちやけにおとなしいな。オレがどん っっなに、理不尽しても、きみたちは抵抗してこない。
『 ぁぇ 』
( 破けたローブを拾い上げ、レッサーパンダちゃんにボフッ と被せ。この子もずっと裸でいた。泣いてしまうぐらい嫌なはずなのに。自分でローブを拾えばいいのに。理不尽が死後の救済だと、約束であると、信じているからだ。
どうして?
たぶん、虐げられてきたからだろう。あまりに多くの理不尽を受けて、その理不尽を利益と捉えることでしか、心が持たなかったんだろう。
で、今のこの人たちの頭のおかしさは、その盲信による後遺症だろう。だから、この人たちに何を言っても無駄なんだ。 )
オレ、ハリジャのところに戻るけど、きみたち、襲ってこないよね?
……俺は止める術を持たない。
貴様も試練に迎え。
ハリジャ様は慈愛の心で貴様に苦しみを与えてくださるだろう。
(ローブの男はそういうと、元いた位置に戻り、再び膝まずいた。
それは寛容とかほんの少しの良心とか、そういう類いのものではない。
本気でそれが救いだと信じているから。)
(今まで受けたどんな苦しみや痛みも、全ては救いのためにあるのだと、信じている。
現世では決して報われることのない現実が、自らの死によって。犠牲によって。世界が救われる。
それらを理解した上で彼らは命を捧げている。悲しい宿命である。)
( みんながわーわーやってる一方で )
オレは回帰教だ。アンタのおやびんといちいい結びつけんじゃねぇよ。ばーーか。
( 最後にムカつく野郎の目の前で「ペッ」と唾を吐いた。これで勘弁しといてやる。あらゆる苦痛を免罪符に換言しちまうドM信者をボコボコにしたところで意味はないし、今はもっと、ボコボコにすべき奴がいる。そいつを叩きのめすために、まずはこのバカでかい扉を『ばこん』『ばこんっ 』『 ばこーーん っ』と蹴り飛ばして、廊下を歩いて歩いて、歩いて、歩く… )
はぁ、教会ってこんなデカいもんなのか…
( 疲れた。ずっと同じ廊下を見てる。飽きた。なので、スタンドグラスの方を見ると、黒くてうねうねしたキモイ物体と、目が合った )
おまえ、キモ助じゃん。
なんで?魔法で飛ばされたはずじゃないの?
『 嗚呼。99%の肉片は飛ばされた。しかし、ワガハイは、おまえが幾分か前に打ち放った死風刃雷弾 ( シップウジライダン )の残りカス。本体とは異なる。』
ふーーん。なんか別に嬉しくないな。
『 外気に夥しい感情が渦巻く。ワガハイは生身では感情に侵食される。早く寄生しろ 』
えーー私、久しぶりに女に戻ったんだけど、ちょっともったいなくね。ていうか、アンタが私に寄生するんだろ。
『 外気中の感情が強く轟いている。ワガハイたちの認知外で大きな何かが起こっているのだろう。早く見たい。寄生しろ 』
チッ どいつもこいつも自分勝手だな。
( 私は腕を突き出した。黒くてキモいそれは塒を巻いて、皮膚の中にもぐっていく。これで、また、男になるのか。 )
よし、行くとするか。オレのこと適当に雑魚扱いしたアイツすっげームカつくし、絶対ぶっころしてやる。