!?(このまま怖がらずに...!)
『白夜の弾丸龍』!!!
高速回転しながらその中から弾丸みたいな硬い毛で乱射する
……それは吹雪だった、回転する白狼の放つ雪にも似た白き体毛は無数の白針となって、あらゆる命を終わらせる死の吹雪を作り出す。
周囲の草が円形に薙払われる様を虚虚実実は白狼の真上から俯瞰していた、跳躍ではない、彼女は一歩も動いていない、事実二人の虚虚実実は今現在も草を踏みしめ地に立っていた。
つまり、この戦場に虚虚実実は都合三体、彼女達には僅かな差異も見受けられず、全くの同一と言って差し支えない。
そして更なる異常は、放たれた白針の内、虚虚実実を傷つけたものは一つとしてないということだ、白針はまるで煙に針を突き刺したかのように虚虚実実の体をすり抜け草原の彼方へと飛び去った。
白狼の直上、虚虚実実は落下していた、その手にはナイフを握りしめ、明確な殺意と共にこの戦いを終わらせんと銀刃を降り下ろし。
「あがっ!?...はぁ...はぁ...」
口から血を吐き出し、服や草原の草が染み渡る。
だが、彼の目はまだ光っている。
まだ諦めない瞳が輝いていた。
「ま..だ...だ。俺はぁ...はぁ..はぁ...まだ、負けたく...ねぇ!」
吐き出した血を額にソビエトのマークを書いた。
そして、そのマークが赤く光ってまた変身する。
...黒くて赤い目、そして狼と針鼠が合わさった化け物になった。