『ハートの石は知っている』#3
キーンコーンカーンコーン
算数、終わった〜。
次は…理科だ!
和くんにまた聞こっと。
理科では、和くんによく聞いている。
和くんの席まで行くことが難しいんだけどね。
だって、関村優奈さんたちのグループの視線、きついんだもん。
「アーちゃん。理科、今日も俺がたっくさん教えてやるからな。他の奴に聞くんじゃないぞ。」
和くんが、私の席まで来た。
もう。いつも胸張ってるんだから。
「ありがとう、和くん。」
和くんが男の子のグループに戻ると、明依ちゃん、明亜ちゃんの双子の子が来た。
「アヤっち。若和と仲いいじゃん。」
明依ちゃんが背中をパシッっと叩く。
明亜ちゃんも笑いながら肩を叩く。
実は、和くんのことが好きなの。
明依ちゃんが、これは恋って教えてくれてね。
「明依と明亜のあだ名決まった?」
明亜ちゃんが身を乗り出す。
私のあだ名はアヤっち。
私だけ決まっているから、明依ちゃんと明亜ちゃんのあだ名は、私が決めることになった。
「明依ちゃんは、メイりん。明亜ちゃんは、メアりんでいい?」
「かわいい〜!」「いいよ♪」
よかった〜、喜んでくれて。
「じゃあ、アヤっち、メイりん、メアりんね。」
キーンコーンカーンコーン
「理科だ、理科理科、理科〜!」
メイりんがピョンピョン跳ねた。
理科が大好きなメイりんは、理科の時間になると、こうして跳ねる。
「アヤっち、若和と頑張ってね!」
「うん!!!」
よ〜し、和くんにたくさん聞こっと!
続く
>>132の続き
『ハートの石は知っている』#4
「和くん!2問目が分かんない!」
和くんの席まで行って、2問目を教えてもらう。
メイりんとメアりんを見ると、グッジョブマークを出している。
「ねえねえ。若和。ここが分からないの〜。麻柚にも教えて〜!」
麻柚さん、何で!
私が教えてもらってたのに。
なのに和くんは、
「まゆりん!えっとねぇ、ここは…」
って、教えてくんだよ!
和くんひどいよ!
いつも私は後回し!
やるって言ったくせにやらないし!
「もう自分で調べるからいい!」
「ちょっ、アーちゃん!」
もう自分で調べる能力あるもんねっ!