>>13の続き
5.どうしよう!
と、止めなきゃ!
「あれ、奈子。佐田さん?」
わざと出てきたふりをする。
すると、奈子が反応した。
「あ、お姉ちゃん。あのね、真理子ちゃんがね、にじクロのボーペン買ってくれるんだよ!」
奈子が嬉しそうに言う。
私と話してるときより、楽しそう。
ママと話してるとき、奈子は毎日怒ってる。
なのに、満面の笑みだ。
妹の満面の笑みくらいは、知ってる。
「立花か。なこちん、無視しときな。買うよ。」
佐田さんっ!
私は奈子の姉なの!
あなたより姉に見えないかもしれないけど、いい加減な姉じゃないから!
「佐田さん、私が買うから。おごるとか、駄目だし。」
奈子がキョトンとする。
佐田さんは、うざったいというように頭をかきあげた。
「あのねえ。プライベート、邪魔すんなよ。なこちん、立花と私、どっちに買ってもらいたい?」
佐田さん!
絶対、優しくしてるのは佐田さんだし、佐田さんって言うに決まってる。
だとしても、佐田さんに買わせない。
「えええ〜?真理子ちゃん。」
ひっ!
「奈子っ!」
ドスドス歩いていって、レジの人に私のお金を出す。
レジの人は、私にお釣りをくれる。
「ありがとうございましたー。」
ほっ。
奈子を見ると、涙目で佐田さんの所にいる。
「奈子。一緒に帰るよ。」
私が言うと、奈子は佐田さんと手を繋いだまま言う。
「ヤダ!奈子は、佐田奈子がいいの!立花奈子なんてヤダ〜!」
ヒッ!
もう、どういうこと!?
>>20の続き
6.姫?
「景子、なこちん連れて行って。」
どこへ行くつもり?
ママは知っているの?
まさか、拉致っ?
それとも、人質っ?
もしかしたら、誘拐っ?
「なこちん、行こう。これで、何もかもリセットになるよ。ちょっと待ってね。」
景子さんはそう言うと、携帯を取り出して、電話をかけた。
スマホ、DIYしてある。
キラキラなデコストーン付いてるし!
「よし。さあ、奈子姫、参りましょう。真理子姫はどうします?」
ひ、姫っ?
奈子姫、真理子姫、、、。
どういうことなの?
奈子はお姫様なの?
「私も行くわ。じゃあ、立花。ごきげんよう。景子、ドレスを、奈子のと私の、至急準備して。」
ドレスっ?
私、夢見てるの?
頬っぺたをペシペシ叩いたけど、痛みが残るだけ。
佐田さんを呼び止めようとしたけど、もういなかった。
…家に帰ろう!
急いでドアを開けて、リビングに入る。手も洗わずに。
「ねえ、ママ。」
ママは、いつも通りダラダラし、奈子のことは気にもかけてない。
もう、駄目でしょっ!
「奈子は?」
ママが、ビクッっと反応する。
何かあるぞ?
ムムム、なんだ!
「奈子に用があるの。」
ないけど。
ママ、奈子はどこにいるのっ?
「奈子って誰のこと?知らないわね。ああ、奈子と言えば。ここの家に奈子って子がいたでしょ?その子、佐田真奈子って子になったって。」
佐田、真奈子?