とある日のこと。
身が縮こまるような寒さから一転、暖かな日差しや小鳥のさえずりが聞こえだす季節…なのだがどういうわけか外は土砂降り。不吉なものを感じてしまう。
窓を見ると流星のようにつたう雨粒。
( ジュリア様とジュラ様、雨に濡れてないかしら? )
ついついため息をついてしまう。気分を紛らわそうと紅茶を入れよう、そう決めた。
「 あれ?リリル。紅茶でも飲むの?」
「 はい。アルス様も良ければ… 」
「 じゃあお願い 」
( 今日は……オレンジペコでいっか。 )
茶葉を入れ、蒸らす。特有のいい香りがふわぁと広がっていく。やっぱり落ち着くには紅茶に限る。
先程の不安はいつのまにか消えてしまっていた。