やあ諸君。え?誰かって?ああ、私は……凪沙、と呼んでくれ。私は迷子センター本丸、なんてものをやっているんだけどね……政府の奴が、人手が足りないから〜、なんて言って私を本丸引き継ぎにぶち込んだのさ。審神者の友人が居て遊びに行ったりはしてるけどね、審神者はした事無いのさ。それにこんなか弱い女子を本丸の引き継ぎに、なんてね。だって本丸の引き継ぎって事はさ、前主が居ないって事でしょ?確実に訳ありじゃないか。面倒な事はやってられないんだけど、政府の司令だからねぇ……後でサニッター(審神者ネットワーキングサービス、二大SNSの1種。因みにもう1つのSNSはサニスタグラムというもので、画像の投稿がメインである)で愚痴るか。政府め。一生恨んでやろうか。
まあそんなこんなで件の本丸に着いたのだが……
早速殺意に満ちた目で強そうなおっきめ刀勢がこっちを見ているのですが。まあ自己紹介はしておこう。
「凪沙だ。この本丸を引き継ぐ事になった。因みに真名では無いからな。」
引き継ぐ、という言葉に反応したのだろうか。加州清光が刃を向ける。眩しい。
「引き継ぐ?まるで主がやめた、みたいじゃん。俺の主は必ず帰って来る。余所者がほざくな」
残念、政府の司令なんだ。そして君のその主さんは数年本丸に帰って来ていない。これは辞任と同じ扱いだ。
「残念だ加州清光。『本丸規則』には3年間全く本丸に来ないと審神者は辞任という事になる」
そんな事言っても聞かないとは思っていたが、今度は公式じじいさんが反応した。
「主は帰って来る。それまで本丸を守るのが俺達の役目だ。主は1人しか居ない。お前の指示には従わんぞ。」
かなり真剣な眼差しでこやつも刃を向けてきた。だから眩しいんだ。そして話を聞け。
これは完全に四面楚歌だ。いや四面ってレベルじゃないな360度では無いのか。
「うん君達には悪いが政府の司令だ。引き継がなくてはならない。私も本当はいy……」
いつの間にかこんのすけが居た。政府に連絡入れられたらどうしよう。面倒だろうな。
「審神者様。政府には言いませんよ。」
なんだこのこんのすけは。素晴らしいでは無いか。あと私はもう審神者で良いのか。
「まあ兎に角、ここを引き継ぐ事になったからな。異論は認めたくても認められない。」
その他数名の大きめ勢の殺意が上がった気がする。仕方ない。ここは霊力供給をOFFにして逃げるか。指で上から下にスワイプする。
突然、彼らは本体に戻った。かなりシュールな光景である。その間に取り敢えずこんのすけに空き部屋を教えてもらい、そこを拠点とする事にした。やれやれ。とんだヤバい本丸だな。
因みにこの後霊力供給をONにするのを忘れて1時間ほど彼らが本体のままになっていたのは秘密である。