「陽奈美...」
秋が陽奈美を呼び止める。
陽奈美が振り返ると、その形相はすごいものだった。
端正な顔立ちだったはずが醜く歪み、怨み。という言葉が相応しい。
変わり果てた陽奈美に少し後退りしつつ、秋は重い口を開く。
「ちょっとやり過ぎじゃない...?」
ざわざわしていた廊下が静まり返る。
陽奈美の話は生徒全員が知っていると言っても過言ではなく、それから陽奈美に話しかける者などいなかった。ましてや陽奈美に楯突くなんて。
無言の静寂。
それを打ち破るのは、女王。
「あんたに私の気持ちなんてわかんないでしょ。」
女王は冷たく言い放って、教室へ入っていってしまった。
女王が消えた廊下は次第にざわめき、いつもの空間に戻る。
ただ違ったのは、
「...陽奈美。」
秋の悲しそうな顔。