「奏太っ!! 麻酔銃貸して!!」
「いや、麻酔銃じゃなくて睡眠銃だから」
目線を動かそうとしない奏太。いいよ、そっちにその気がないなら行かせてもらうよ。
「じゃあその睡眠銃貸してもらうよっ」
私は、ボロボロになった机の上に置かれた、もう1つの銃を持って駆け出した。
「わーー!ストップストップッ!!」
「何よ止めないでよ!」
奏太が、私の腕をつかんで、銃を取り上げた。
「友達を助けたいのは、すごーーく分かる。分かるぞ?だけどな…………」
「何?止めろって言うの」
やめて、止めないでよ。 私が決めた事なんだから。
「うーん。お前さパーカーとか持ってるか?」
「持ってないよ。こんな暖かい時期に。あ、でもパーカーなら此処の備品のダンボールの中に……」
そう、あったのだ。昔、学校探検とかいうやつで、幽霊の着てたものとか噂流れてたっけ。
確か、この段のダンボールに入ってたと思うんだけど…………
「っていうか、なんでそんなの必要なわけ?」
「えっ!? それは――――あの、そ のっ お前が今来てるヤツに俺らの暴力団の名前が、実は刻まれてて……」
たどたどしいんだけど。
「じゃあ、なんで私にこのチョッキみたいの渡したの?」
私は、靴とかズボンがわちゃわちゃ入ってるダンボールを探る。暗くて見づらい。
「……暑いし、ここに置いてても仲間にばれるから……かな」
「……ふーん。あ、あった」
白かったみたいだけど、けっこう長く置いてあったのか少し黒ずんでいる。
これを着てもいいんだけど。
私はそれを羽織る。少しカビ臭い臭いがしたが、気にしない。
奏太は、私に銃を渡した。
「どうも。じゃあね、奏太。さよなら」
私がそう言って笑ってみると、奏太は少し驚いてやっと真面目に、こっちを向いてくれた。
そして、ふてくされたような声で聞いてきた。
「お前、クラス何処?」
「6年1組。そこに友達いるかもだから、行って来る。死んでも、もういいかな。」
12年近く生きたんだ。 もう…………幕を閉じてもいいよね…………?
友達を助けるために死ぬなんて、本望じゃない?
そうやって、全力で助けたい友達が居るだけいいんじゃない?今までそう願ってきたんじゃないのかな。
そんな友達が欲しいって。
「奏太、守ってくれてありがとう。私答え見つけたから行くね。さよなら。死なないでね」
私がドアに手をかけたところで、かなたが何か呟いた。
「良かったな……そう簡単には死ねねえよ。」
私には、うまく聞き取る事が出来なかった。いや、聞き取れていたのかもしれない。だけど意味が分からなかった。
ドアを閉めた後、私はもう一度、さよならと呟いた。
後悔…………しないよね。
銃を握り締めて、目を強くつぶってみた。 目にジンと痛みが伝わる。
私は顔を上げ、深呼吸した。 そして一気に階段を登った。
内容があまり理解できない人は、>>19 をもう一度見てみよう・・・・・・
>れい 毎回コメントありがとうっ!