「早いおかえりですね」
と微笑むのは先程呆れたように笑っていた先生だ。そう、私はもう一度図書室に戻ったのだ。
今は授業時間であることを思い出した以上、見張りの先生に見つかるわけにはいかない。
と、いうわけでもうバレいる先生のもとに戻ってきたというわけだ。
「今授業中なので。」
「今なら遅刻ですーって行けば間に合うかもしれませんよ。なんなら僕もついていきますよ」
「先生給料下がって奥さんやお子さん養えなくなってもいいんですか?」
「それは困りますねー。」
「言葉とは裏腹に余裕のある微笑みですね」
「現実に起こっているわけではないので。」
「さいですか。」
私は椅子から立ち上がって、本棚から本を選んだ。
この学園の図書室は図書館かっ!というくらい広く、本の種類が豊富だった。
その中でも私が気に入っているのはレシピ本。
「いつもレシピ本を見てますね。」
「え、見てたんですか。」
「レシピ本が置いてあるのはカウンターの前なので目にはついてましたよ。」
「そういえばそうでしたねー。」
「そんな熱心にレシピ本を読んでいるのは綺秋さんくらいですよ」
「料理好きですしね。」
「いい奥さんになれますね。」
「あ、そういうの興味ないですので〜。今は別のジャンルが忙しいので。」
いじめというジャンルがな。恋愛なんかしてる暇ないっす。
「今のうちに恋愛はしておいた方がいいですよ。」
「興味深い一言ですね。」
とありもしないメガネをのフレームを上げるマネをしてみた。
こうみえて視力は1・5以上あるからね。
「年を取ると恋愛より仕事取るようになりますし、恋愛とか面倒くさいとか思うようになっちゃいますよ」
「それでいいじゃないですかー」
「寂しい人生になりますよ。」
「いいんですー。というか先生もまだ20代前半なのにすごいおじいちゃんみたいなこと言いますね」
「失礼なこと言いますねー。」
「自覚して無いです。」
ニコッと微笑むと、先生もニコッと微笑んだ。
若干黒いオーラがある気がするが、気のせいと言う事で。
「でも、綺秋さんって結構鈍感ですよね。」
「え?どうしてですか。」
「そういうことです。」
「意味わかんないです」
「恋は案外近くにあるものですよ。」
「え、どういうことですかっ」
先生は微笑むだけで、何も言わず本を読み始めた。
「ちょっと先生!?」
意味が解らなかった私はチャイムが鳴るまで先生に問い続けたのだった。
勘違いでした。
>>245のちくわです…
申し訳ございませぬ