「告る…? 和泉先輩に?」
あたしは飯田先輩が出したお仕置きに驚いた。なんだ、意外と楽じゃん。
和泉先輩って言うのは、二年生の和泉隼人先輩のこと。めちゃめちゃかっこよくてスポーツ万能だから、
桜の森高校で知らない人はいないってほどのモテ男だ。
そんな人に私が告るのか…。でも、暴力を受けるよりは全然ましだ。
彼はすごくモテるから毎日のように告白されているけれど、みんな振られている。
だからあたしごときが告ってもどのみちフラれるから楽だ。あたしはその命令に従った。
「わかりました。告ります。それと、部活にもちゃんと行きますね。今までサボっててごめんなさい」
「よろしい。どうせあんたなんか振られるんだしこのお仕置きちょっと楽だったかしらね」
中森先輩が笑う。ちなみにこの三人組は全員和泉先輩に告って振られた経験があるそうだ。
飯田先輩と佐藤先輩はまだしも、美人な中森先輩まで振られているのだから相当理想が高い人なんだろう。
「でもさぁ、和泉くんの振り方って結構ひどいじゃない。あんたもすぱーんと玉砕しちゃえばいいのよ」
佐藤先輩が言う。
「そうね。じゃあ次の部活には絶対来なさいよ。それと、新学期が始まったら絶対に和泉くんに告ること。いいわね?」
「…はい」
それだけ言い残すと三人の先輩たちは帰って行った。