「っていう訳なんだよ!」
あたしは先輩たちとその約束をした後、親友の相田優香の家に行ってそのことを愚痴っていた。
「ふーん、大変だね。でも楽じゃん。パシリとかにされるよりはマシじゃん」
優香は自覚がないみたいだけど結構さばさばしてるんだよね。
「でもさ、和泉先輩に失礼じゃない? 好きでもないのに告るんだよ?」
「そんなのどうでもいいんじゃない? どうせあの人毎日のように告られてんだから、そんなこと
いちいち気が付かないでしょ」
「それもそうかなあ…」
でも実際どうなんだろう。そこまでモテる人って想像がつかない。
「だいたいOKされる見込みはゼロなんだから、そこまで悩む必要ないって」
またきついこと言ったなこの子……。自覚がないのか。
「…そーだね」
あたしは優香の家を後にした。でも夏休みが終わるまで告れないのかー。面倒事は早く終わらせたいんだけどな。
ぼんやりしながら歩いていると、誰かにぶつかった。
「わ、ごめんなさい!」
「いやこっちこそ…」
「和泉先輩!?」
あたしがぶつかったのって和泉先輩? ラッキー! 今告っちゃお!
「ああ…、お前桜の森の生徒? 一年じゃん」
「そうです! あの、お話があるので近くの公園まで来てもらえませんか!」
「え? いーけど…」
あたしは近くの公園まで和泉先輩を誘導した。大きく深呼吸…。
「あたし、和泉先輩の事が好きなんです! 付き合ってください!!」
やばい…。嘘告白とはいえ緊張する…。
「うん、いーよ」
「え?」
今この人なんて言った? あたしの空耳?
「だから、いーよ。付き合おうよ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」