チッ、誰か来やがった。
夏樹のやつ、俺に告白しねぇのかよ...。
もしかして好きな奴って俺のことじゃねぇのか?
じゃあ誰だ?
「坂本さん、木ノ下さんを離してあげてください!」
あ...こいつは...
「優羽島くんかよ...何のようだよ」
「僕と木ノ下さん、一緒に帰る約束しているので」
....は?
「夏樹、こいつと帰ってたのか?」
夏樹は下を向いたまま頷く。
俺は夏樹の腕を離した。
すると、優羽島の後ろに隠れた。
ズキッ
なんなんだ?胸が痛い。
「とにかく、しばらくは彼女に近づかないでくださいね」
優羽島は夏樹の手を引いて廊下を出た。
優羽島の目は、氷のように冷たかった。
そして夏樹は...
泣いていた。
俺は、あいつを泣かせた。
いや、待てよ、そもそも俺の目的は夏樹の悲しむ顔を見るためだったよな。
なのにてこんなに胸が痛いんだろう。
俺はあいつが嫌いなはずじゃねぇのか。
それに、女子の悲しむ顔が見れれば誰でもよかったはずなのにどうして夏樹を選んだ?
わからない、
自分がわからない。
俺はただ一人、教室にたたずんでいた。
修正
なのにてこんなに胸が痛いんだろう。→なのにどうしてこんなに胸が痛いんだろう。