「えー、これから捜査会議を始めます。」
松本警部の声で今までざわついていた第2会議室が静まり返った。
俺、黒羽新一は眠い目をこすりながら手元の資料に目を通した。
「黒羽くん、だいぶ疲れてるみたいね。」
突然隣に座っていた三池刑事に声をかけられ俺は目が覚めた。
三池美和子刑事は俺が27年間生きてきた中での初恋の相手なのだから。
「それにしても、どういうことかしらね、この事件。」
三池刑事は資料を見ながら言った。
その資料とは、一昨日と昨日の午前2時に藤野沢駅前通りでおきた通り魔事件に関することだった。
被害者は円谷歩美(27)と小島健太(27)。
今の段階で2人の被害者に共通するのは年齢しかわかっていない。
防犯カメラの映像は非常に不鮮明で解析には時間がかかる
。
しかも、犯人と思われる人物はフードのようなものをかぶっていて顔はわからない。
警察は、ローラー作戦の他、やることがなかった。