小さな声で何かを言ってるんだけど、全く聞こえ消えない。けれど、誰かの名前を呼んでいた。多分、亡くなったその人のこと。服装は、現代に少し近かった。その男の人は、如何にも病院で入院をしている様な服装だった。女性の方は、制服だった。スカートは赤と黒と緑のチェック。それで、ブラウスの半袖を着ていた。あの制服は、森山大の制服。あたしが目指している学校だった。
「何で・・・?」
私は、誰にも話そうとはしなかった。もしそんなことを言って、笑いものにされたら、いてもたってもいられなくなる。
「どーした、薫。落ち込んだ顔しちゃって。・・・何かあったの?」
七瀬ちゃんが話し掛けてきた。その隣で愛加ちゃんも心配そうな顔をしていた。
「悩みがあるなら聞かせて?薫ちゃん。」
と言っているようにも見えた。
「じゃぁ、聞いて貰おうかな。」
私は、気持ちは落ち込ませたまま、笑顔を作った。まさに、空元気と言う奴だ。
私は、最近見ている夢の事を全て話した。何故か、私と廣瀬君に似ている人物が出てくる事。それから、廣瀬君に似た人物は亡くなっていると言う事。私に似た人物は桜の木下で、廣瀬君に似た人物を見て泣いているという事。私に似た人物は、森山大の制服を着ているという事。
「おかしな話ねぇ、それ。」
七瀬が、そんなことをぼやいた。
「うん。」
「そうじゃなくって、私が思うにその夢、未来のあんた達に起こることなんだよ。」
「えっ」
と、愛加ちゃんと同時に驚いた。
「夢で、未来のことを見ることを予知夢って言うの。大体は自分の体を守るためだったりとかが多いんだけどね。でも、彼が死ぬ病気を抱えているってのは確かなのかも。時々、歌歌うときにの喉を掴むの。」
「そうなの?」