第一章 出会い
「ちょっと薫ー。早く来てよー。」
私の親友、七瀬が私を呼んでいる。
「ご...、ごめんごめん。今行く。」
持っていた荷物を高い方へと上げると、七瀬の元へと走ってゆく。
「遅いよー、薫ちゃん。」
もう一人の大親友、愛加ちゃんが私にそう言った。
「ごめんね、愛加ちゃん。七瀬ちゃん。」
三人で、肩を並べて、山道を登る。夏だから、気温が暑くて、額に汗が滲む。でも、森だから、木の陰が、私たちを包み込むような感じに、優しく揺れている。耳を澄ませれば、鳥の鳴き声が聞こえ、木々達は歌ってる。そんな不思議な事を考えながら、山道を登ると、辺りがグリム童話に出てくるような道へと変化した。幻だけれど、こうすると疲れが吹き飛ぶ感じ。
「んー、着いたー。」
手を上にあげて、目をつぶり、そんな事を呟く。
「ここから見る夕日なんて、最高なんだろうね。」
七瀬が、そんな事を言いながら、あたりを見回す。
「時間無くなるし、テント組み立てよ。」
登山する前に、もらったテントをナップから出す。女の子でも簡単に組み立てられて、自然にもいいテント。力には自信あるんだけど、この方がいいって言われて、貰ったんだ。
「出来たねー。」
「うん。じゃぁ、火を焚こ。」
あたりに落ちている枝と葉を集め、火をおこす道具を使い、煙が出てきたと思ったら、そこにさっき集めてきたものを置いた。
直ぐに火がついたので、私は、ジャガイモ、人参、玉ねぎの皮を剥きおわると、一口サイズの大きさに切り、持参した鍋に具材を入れる。そして、さっきの間に組んできた湧き水を入れ二三十分待つ。そして、持参したカレールウを入れる。