成績は惨敗、運動音痴、可愛くないしスタイルだって――……
絵を描くのが得意だとか、歌が上手いとか、手先が器用とかは一切無し。
私は何の取り柄も……魅力も……金も家族も希望も夢も!
とにかく私に『特別』なモノなんてないんだ!
「この事を不完全燃焼と言い、有機物は……」
理科室から漂う薬品の臭いと、耳に入っては抜けてく先生の声。
ピカピカに洗練されて棚に並べられたフラスコに、自分の姿が歪んで映る。
ぼんやり頬杖をついて、虚ろな目で黒板を見据えた。
雑なシャーペンの字が並べられたやる気のないノート。
情報処理不可、思考回路麻痺、脳内爆裂、疲労炸裂。
「では大津さん、砂糖は有機物ですか?無機物ですか?」
唐突に自分が指名され、ハッとした。
有機物?無機物?
新種のハムスターとかシマリスとかですか?
確率は二分の一……ここは自分の直感を信じるしか――……
「……有機物……?」
自身なく、情けなく掠れた小声。
「ですね、砂糖は有機物です。まぁこれは初歩の初歩ですね」
そう言われると、こっちもかなりプレッシャーがかかる。
本当にそういうの、やめて欲しい――……