女の子の鼻から血が垂れた……というより、噴き出した。
よく漫画で血が噴き出すのを見て、試しに鼻血が出た時に放置しても下にしか流れなかったのにもかかわらず、この女の子は前に飛ばしたのだ。
こいつ……やりおる。なんて馬鹿な事を考えてから、冷静になった。
「……大丈夫ですか?」
「あ、大丈夫です!気にしないでください!ちょっとこうふ、じゃない……鼻を掻いていたら血が出てきただけです!」
「あ、あぁ……そうなんだ」
女の子の裏事情なんか知りたくなかった。
絶望を感じながらも、友達にティッシュを貰って、その女の子に差し出す。
その女の子が終始ニヤついている事に、気付かないふりをしながら。
……正直、少し気持ち悪かった。