夜空にうち上がる無数の花。
花火をボーと見ていると気配がしなくなり周りを見渡す。
「あれ?ママ、パパ?ばぁ、じぃ?」
みんな居ない。はぐれたんだ。
普通の女の子だったら泣き出すだろう場面。
「・・・ま、いーや」
あたしは開き直った。
そして浜辺を歩く。
ここの浜辺は人が少ない。
手を繋いで幸せそうに笑い合うカップル、友達と楽しそうに笑い合う人。
そんな人達を見ていると見ているのが辛くなって走ってその場を離れた。
「ママ、パパ。どこー?」
泣かないように日々努力をした結果絶対に泣かない女の子になってしまったあたし。
「ふーんふんふーん♪」
鼻唄を歌う。
・・・この時から、強がってばかりだった。
「・・・こんな夜中に一人?」
ふと後ろから声がする。
恐る恐る振り返ると同い年くらいの男の子。
「うん、ママ達とはぐれたんだぁー」
笑って言うと男の子が言った。
「そーなの?泣かないの?」
「泣かないよ?」
男の子は驚いていた。
「どーして?」
「ママみたいくいつも笑顔でいたいんだぁー。」
「・・・そっか。」
この時、ニコリと微笑む男の子にドキっとしたのは気のせいだ、きっと。
「お名前は??」
「りゅーすけ、神崎竜佑!」
『神崎竜佑』くん
「菜乃っ!柴崎菜乃葉!」
「ヨロシクね。」
「うんっ!」
あたし達は笑いあった後座って二人で色々話した。
学校、友達のこと、家族のこと。
お互いのこと。
「菜乃ー!!」
「・・・ママぁー」
ちょっと残念だった。
だって竜佑くんとお別れだもん。
「菜乃葉ちゃんのママ?」
「うん、竜佑くんゴメンね、またね」
そう言うと竜佑くんは浜の目の前の家に入っていった。
・・・あたしのためにいてくれたのかな?
この時は浮かれてたけど今になって自惚れだと気付く。