【1話 日常】
……今日も辛くて堪らない一日が始まる。
学校に行きたくない。
しかし、行かなければ成績は落ちる一方。
私は、重い足取りで学校へと歩みを進めた。
「…おはようございます」
いつも通りの、控え目な挨拶。
まぁ当然だが、挨拶が返ってくる筈もなく。
「うっわ、まだ来るのっ?」
「おうちにかえっておねんねでもちたらどうでしゅかーあ?」
代わりに浴びせられるのは、求めてもいない罵声。
正直な感想を言うと、このくらいでは全く何も思わない。
「……退いて下さい。何故入り口を塞ぐのですか?教室に入れません」
というより早く鞄を置きたくて仕方がないので退いて下さい。
「はっ、何それ私達に指図すんの?」
「いいから帰れよ!」
いやいや質問に答えて下さいよ、と言おうとした。が、それは出来なかった。
ドンッ
後方で鈍い音がし、私が床に倒れたからである。
地味に背中が痛い…あ、何者かに私は蹴られたのか。
「ちょっと、入り口塞がないでくれる?邪魔なんだけど」
「ぁ、だ、駄目だよ、まどかちゃんっ!そんなこと言ったら!……クスクスッ」
……出た。
いじめの主犯である森西まどかに、その親友である白星鈴音。
…そして入り口塞いでいたのは貴方方の仲間である、そちらの二人なんですが。
「なんで懲りずに学校に来るわけ?まぁその図太い神経だけは誉めてやってもいいけどねー?あっははぁ!」
「はぁ、ありがとうございます」
「…チッ、つっまんな…」
何故……。誉められたから感謝をしたまでだというのに。
…この人達はよくわからないな。