薄暗い放課後の音楽室に・・・一人の男子がいた。
外からは野球部の元気な声。
「・・・ああ。分かった。ミサトとの縁組みなら・・・任せろ。」
そう言うと彼は携帯をポケットにしまった。いつしか、薄暗い音楽室から幻想的なピアノの音色が響いていた。
「あーあっ!!!何て鈍感なの紫田の奴ー!!!普通一緒に帰ろって言ったらドキッとするでしょーー!!!何よ、1人で帰ることもできんのか?って!!!」
学校からの下校路地で人目も気にせずキーキー声をあげているセーラー服の女子。若干茶髪っぽいその髪はどこか上品さを物語る。
「あはは・・・紫田君だって色々あるんだよ・・・きっと・・・そう・・・きっと・・・」
キーキー声とは対照的に落ち着き払った女子。冷静な眼差しの奥に、どんな感情が眠るのかなど、知るよしもない。
二人は、帰り道を歩いて行った。