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5:苺ましまろ:2015/10/06(火) 10:46 ID:EIk

校長の延々と続く話を聞きながら私は正直焦っていた。
マズイマズイマズイマズイ。
周りは早速仲良くなってしゃべってんのに、私だけ………なんか場違い?

「見てあの子。髪染めてるよ」

と生徒たちの目が言ってる。
違うってば。私は不良なんかじゃないんだよ!



その時だった。
空に白い稲妻が走り、大音量と共に学校の避雷針に落ちた。
地震みたいに体が揺れ、椅子から転げ落ちた。
「きゃああああああああ」
「私達、死んだりしないよねぇ!?」
「天気予報では…快晴っていってたよおぉお」
恐怖のせいか、生徒たちの声は震えていた。
「皆、落ち着いて!」

二発目。
次は桜の木に落ちた。そこに更にもう一発。
それにあれは………なんだろう。紫色の何かが飛んでいる。

「ねえ、さっき…からっこの校庭の中にばっかり落ちてない…ぃ?」
「呪われてるの!?」
「やめてよ…」


桜の木から、火が出てきた。
火事!

「皆さん落ち着いて!このまま激しい雨が降れば、自然と消えるわ!」

女教師の震え声は、私以外の誰にも届いていないようだ。講堂内はどんどん騒がしくなり、鼓膜がビリビリしてくる。
「火が…こっちに来るよ!芝生が燃えて…」

一階の壁が黒くなっている。
そしてこの臭いは………
「なに!?」
「皆、避難するから、南口から出て…」
その瞬間、生徒は押し出されるようにして外へ出た。私は転び、踏みつけられながら、ただひたすら恐怖と痛みに耐え続けた。
怖いと痛いが交わり、それが涙になって目から流れ落ちる。
外に出るのが怖い。このままじゃ、私死んじゃうよね。
「ねえ、もう誰も居ないわね!?」
「え」
女教師の声が微かに響いた。
そして、重々しいドアのしまる音と、無数のガチャガチャ、という音…

嘘!

閉じ込められた…。
「開けてえ!」
叫んでも、足音は遠ざかり、次第には何も聞こえなくなった。
異常な心拍の速さと、燃え盛る炎にひたすら怯える。
私だけ、一人ぼっちで消えちゃうんだ。誰にも、気付かれないままで。


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