「歌永、お前またこんな点数か!これじゃあ抹殺も時間の問題だな!」
強面の先生は、赤い雨がたくさん降っているテスト用紙を教卓に叩きつけ、怒鳴り散らした。
ペケ、ペケ、ペケ、――二つマル。
勿論、今回も昇格なんかせず、最低クラスのZクラスのまま。
正直私はもう、今回のテストは自殺すると思って諦めてい挑んだ。
なのに、ギリギリの点数で抹殺を免れてしまった。
「よく勉強しておけ!次!」
先生はクシャクシャになったテスト用紙を乱暴に突き付けると、また怒鳴り散らす。
――2050年……
日本は人口が増加しすぎ、食糧不足や土地不足が問題となっている。
それらを解決するべく、政府は憲法や法律に背いて残虐な政策を行った。
それが――
『抹殺』
日本を発展させるために、教育を良くせねば、と政府は高校まで義務教育にした。
小学校では抹殺は無いが、中学から高校まで抹殺がある。
優良な人材を残すため、不良な人材は抹殺していく。
毎日が戦争のようなこの日々に、私はもう疲れていた――