In order to meet you *百合*

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2:じゃじゃん:2015/10/25(日) 12:48 ID:Icg

「君、大丈夫? どこか痛いの?」
「……」

泣きじゃくる私を、心配そうに見てくれた。

「これあげる。ハンカチなんだけど……とってもいい匂いするでしょ?」

そのお姉さんが渡してくれたハンカチは、石鹸のような香りがした。
「名前書いてあるけど、気にしないでね」なんて、笑いながら。

その時のお姉さんが今も忘れられない。あの透き通った声が、あの白い肌が、あの優しい笑顔が。

ピーッ ピーッ

目覚まし時計にしては控えめな音が、部屋に響きわたる。

「ん、またあの夢……」

上体を起こし、目覚まし時計を止め、真希はそっと呟いた。
そして、壁に掛かっている制服に目を向けた。

「あっ!」

慌てた様子で、制服を手に取った。

未だに信じられないのだ。自分がこんな名門校に受かっただなんて。

「今日から宜しくね」

なんて、少し恥ずかしい事を言ってしまった。
まあ、今日くらいはいいだろう。

そうだ、あのハンカチも持っていこう。お守り代わりに……ね

「麻希! 遅れるよ!」

母の声で、現実に戻らせられた。

そうだ、今日はもう入学式。
ぼーっとなんて、していられないんだ。

麻希は返事をし、速足で階段を下りていった。


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