文才上げるために書く短編集 (失踪する可能性あり)

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3:ムクロ:2015/11/01(日) 21:38 ID:3uI

認めたくなかった。

「だって、あいつ暗いじゃん」

アイツがアタシをそう思っていたなんて。

「あいつと幼馴染みとかマジ信じらんねー」

嘘だと思いたかった。

「でも、あいつの姉ちゃんちょー可愛くてさー」

昔から気づいてはいたけれど。

「あいつの姉ちゃんのユリ姉ちゃんのためにあいつと幼馴染みやってるっていうか」

でも、そこまで言わなくなっていいじゃん。

「ユリ姉ちゃん、すっげぇかわ……__」

あいつが私に気づく。
クラスメイトの机に座って、他の男子二名と喋っている幼馴染みの雄太を睨みつけた。

私は教室に入って、雄太の寝癖の一つもない頭に向かって持っていたゴミ袋を投げつけた。
ゴミ袋はドサッという音をたてて床に落ちた。ゴミ袋に当たった雄太は「なんだよ!!」と私を睨んだ。
私も負けじと雄太を睨む。
雄太と喋っていた男子はコソコソと夕暮れの教室を出ていった。

「……信じらんないのは私の方よ」

怒りと絶望で胸が締め付けられ、やっと出た声はとても小さかった。
雄太は「ハッ!!」と笑った。

「なんだよ!!本当のことを言っただけだろ!!」
「本当のことって……本当のことって何よ……」
「ユリ姉ちゃんは可愛いけど、お前は暗いってことだよ。そんなこともわかんねぇの?やっぱお前低脳」

低脳。
その言葉でついに私の堪忍袋の緒はプチンと音をたてて切れた。
全部切れた。涙腺も堪忍袋の緒も、全部。
私は泣きながら雄太に向かって暴言を吐いた。

「そんなこと言うアンタが低脳だ!!暗いってなに!?私は暗くない!!このクソ!!このチビ!!アンタのようなバカが私の幼馴染みなんて、信じらんない信じらんない!!死んじゃえばいいのに!!」

雄太はそれでキレたようで、私の頭を叩いてきた。二発くらい私の頭を叩いて、暴言を吐く。

「てめぇはホントにユリ姉ちゃんに似てないのな!!このブス!!お前みたいな低脳クソ野郎が幼馴染みなんてオレ不幸だよな!!」
「うっさいうっさいうっさい!!ねぇは関係ないでしょ!!ねぇのことを持ち出さないでよ、バカ雄太!!」
「ホントのこと言われて泣いてんのかよ!!泣き虫!!」
「昔は私より泣き虫だったじゃん!!」
「昔だろうが!!」

言い争っていると、「やめなさいよ!!」という声が廊下から聞こえてきた。
見れば、廊下には数人の野次馬がいて、その中には私が「ねぇ」と呼んでいる姉の百合がいた。

「なにやってんの!!ユウもモモカも大声あげて!!恥ずかしいと思わないの!?」

大声をあげてるのは、ねぇも同じなのに。
私はその言葉をグッと飲み込み、「ごめんなさい」とねぇに謝った。

「アタシじゃなくて、ユウにでしょ。ユウも謝って!!」
「……分かったよ。……ごめん」
「ちゃんと目を見て!!」

雄太が私の目を見て頭を軽く下げる。

「……ごめん」

私も雄太の目を見て「ごめん」と改めて謝った。

「うんうん。仲良しが一番。二人とも、もう喧嘩しないでよ?」
「「はい」」

昔からそうだった。
雄太が私のことをどこかで悪く言って、それを私が知って泣きながら雄太に暴言を吐く。雄太も暴言を吐いて子供っぽい喧嘩になる。
そしたら、ねぇが来て「謝りなさい!」と言う。私も雄太もねぇには逆らわない。
謝ったら、ねぇは「喧嘩しないでよ?」と一言言う。

昔とまったく同じ光景に、少し笑えてきた。


ムクロ:2015/11/07(土) 14:22 ID:3uI [返信]

ありがとうございます!!
>>3の話ですか……!!
推敲してなかったものですので……ちょっと恥ずかしいです(*´ω`)


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