chamomile

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2:ティア:2015/11/16(月) 20:54 ID:Oj.

chamomile

ここはカモミールの白い花が咲く、小さな国。カモミール国と呼ばれる事が多いけれど、正式にはフランベールという国だ。そしてフランベール国、王子が俺、シエラ・シャナ。婆やたちにはシャナ坊ちゃんと呼ばれている。もう13歳なのだから坊ちゃんじゃない方が良いのだが。何てつくづく思う。そして隣の国、カスオダークのお姫様が同じ年のマナカ・シャルル姫。俺の国とは逆と言ってもいいほど暗い国。カスオダークの城の前にはよほど入れたくない招かれざる客が居るらしく、漆黒の鎧をまとった騎士が凄いくらいの威圧感で立っている。そしてその城の最上階の牢獄にいるのがシャルル。黒い城には不似合いな真っ白な服に純白の身を包み、さらりとした黒い髪を背中まで伸ばしている。金色にキラリと光る瞳は今までに色々な男を魅了してきたのだろう。そして牢獄に閉じ込められている理由、お姫様が何で牢獄なんかにって俺も思ったけれど、シャルルには不思議な力があった。彼女が歩く周りには所構わずカモミールが咲く、彼女の強い願いに応じて咲く事と咲かない事もあるが、フランベールとカスオダークは500年も前から敵対関係なのだ。敵国の象徴である花を所構わず咲かせてしまう彼女は忌み嫌われていた。あの牢獄は何時でも白い花が咲き、甘い香りが漂う。俺はできるだけ彼女の悪口を城で婆やたちに言う様になった。敵対関係の国の姫と王子が会っているなんてそんな事、バレてしまうのは大変だから。シャルル姫をいつか、あの辛い牢獄から出してあげるために俺はシャルルにできる事は尽くした。そして俺たちがコソコソ会う様になってから2年が過ぎようとしていた、その時の事だ。


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