1「ほのか」
夜の校舎を、中等部の制服を着た私が走っている。
肩をあちこちにぶつけ、足がズキズキいたんでも、走るのをやめない。
私は勢いよく立ち入り禁止の屋上のドアを開けた。
「りおなっ!!!」
私は叫ぶ。
すると、そこに……いた。
私の大好きな人と手をつないで。
死人のような顔をした、りおなが。
二人は屋上の柵を乗り越えて落ちるギリギリのところで立っていた。
二人が今何をしようとしているのか、これからどうなるのか。
瞬時に判断した私は二人に向かって手を伸ばした。
「りおなっ……瞬……!」
りおなは小さく口を開いた。
じゃあね、ほのか―……。