「私は完璧なものしか認めない」 深夜。博士が呟いた。 真っ暗な部屋に、パソコンの液晶画面の光だけを頼りに、博士は何かを書いていた。 万年筆が紙の上を滑る音。 「そうだ、完璧なもの以外は要らない」 博士はそう言って、ドスッと音を立てて立ち上がった。床に積まれたダンボールに椅子が当たったのだ。 痩せ細った骨と皮だけの腕が迫ってくる。枝のような指が。光る眼鏡のレンズが。薄ら笑いを浮かべる博士の顔が。