__雨上がりの空の下、積乱雲が通り過ぎて行ったのを見ながら、俺は孤独に人通りの少ない路地の道端を歩く。 昨日まで"アイツ"と2人で歩いていたこの道には、雲に置いて行かれた水溜りしか残っていない。 そんな雲と水溜りの関係は、今の俺と"アイツ"に似ている。それを思うと、悲しみが湧き上がってきた。 「畜生っ…」 俺は自分を誤魔化すように石塀を殴る。俺は泣いてない。この涙は幻だ、と。