俺とアイツが出会ったのは、保育所に入って少し経った頃だ。
友達と外でボール遊びをしていたところを突然呼び出され、先生に「この子とも遊んで欲しい」と頼まれた。その"この子"というのがアイツだ。
水色が基準の容姿に綺麗な黄色の瞳。年齢や性別は俺と一緒らしい。
しかし、どれ程容姿が優れていようと、年齢や性別が一緒だろうと、遊ぼうとは甚だ思わなかった。
何故かというと、アイツは体が弱いからだ。
ボールをぶつけてしまえば泣かれてしまうかもしれないし、挙句の果てには俺のせいになるかもしれない。
断ろうとしたその時、
「一緒に遊ぼう」
アイツが発したその一言だけで、俺は今までの否定的な意見が全て吹き飛んだ。理由は自分でもよく分からない。
「 うん、遊ぼう 」
遊んでみると結構楽しいものだ。ボールをぶつけしまっても泣いたりしないし、逆に笑って許してくれる。
その日から、俺とアイツは2人で居ることが多くなった。
そして、一緒に居て気付くことも多かった。とにかく優しくて、少し寂しがり屋で、人に上手く甘えられない。
そして何よりも、ずっと笑顔だ。
四六時中笑っている訳ではないのだが、少なくとも俺がアイツを見る時はいつも笑っている。
「なんでそんなに笑ってるの?」
俺がそう訊いてみても、アイツは笑って首を振るだけだった。